2007年7月25日水曜日

―Sky―【SITS.Story.】 第参話~女!?~

この物語は全てフィクションです。(念のため)

Skyの世界のパラレルワールドであるもう一つの世界でのお話・・・。

―Sky―【SITS.Story.】 第参話~女!?~

あの事件の翌日。
「ふぁ~・・・。」
あくびをしながら貴輝が起きてくると
「おはよう!」
何故か元気に挨拶をしながら笑顔で近づいてくる澄夜。
「それ以上寄るな!」
警戒して叫ぶ貴輝。
「そう警戒するなって。」
相変わらず笑顔で近づいてくる澄夜は右手を後ろにまわしている。
「その右手の物を見せてみろ・・・。」
そういうと澄夜はすっと右手に持っている物を見せてくれた。
「・・・注射器!?」
しかもなにやらピンク色の液体が入っている・・・!?!?!?
身の危険を感じ身構えるが
「隙あり!」
後ろから羽交い絞めにされる。
「な、名美!?何してンのお前!?」
「お手伝い!」
元気よく言われる。
しかしこうなるとドウヤッテ逃げようか?
最悪振りほどいて逃げるも良しなんだが・・・。
と考えているうちにもすたすたとこちらに近づいてくる悪鬼。
「寄るなー!!!」
叫ぶが彼の耳には届いてないもよう。
そのまま近づいてきて、
「お注射でーす。」
「させるかー!!」
手をぶんぶんと振って抵抗する。
「頭に注射打つぞ?」
額に青筋を立てて脅迫してくる悪鬼は笑顔だった。
「それはもっと勘弁。」
とりあえず暴れるのをやめて思い切り蹴ろうとする。
「ふっ。その程度の攻撃が俺に当たると思っているのか!」
どこの悪役の台詞だと思いながら警戒する。
(どうやって逃げるかな・・・。ってか、朝っぱらからなんでこんな目に・・・。)
悲しみながら思考すること三秒。
振り払うことに決定。
即実行と思って腕に力を込めるが
「解けない・・・!?お前どんな腕力しとるんだ!?」
名美の拘束から逃れられなかった。
「ふっふっふ・・・。」
しかも質問には答えず不敵な笑いだけが返される。
「ふふふふふふ・・・・・・・・。」
前方からは悪鬼が近づいてくる。
「ぜ、絶体絶命!?」
そのあと腕に謎の液体を打ち込まれ開放される。
「何を打ったー!?」
「大丈夫だ。人型の女になる薬だ。足の生える薬を作ろうと思ったけどこっちのほうが先にできたからな。お前で実験だ。」
・・・ナンダって?
「人型の・・・『女』になる薬?」
「可愛くなったりしてね!」
名美がなにやらほざいているが耳に入らない。
・・・女!?
拙者が女になる!?
「ちょっと待て・・・ぐっ!?」
「お、変化が始まったか。」
頭が割れるように痛い。
体中の筋肉に力が入らない。
そのまま床に倒れ付す。
「ぐっ・・・かはっ・・・!」
体が溶けるかのようにしゅうしゅう音を出し、煙を出している。
そして体が芯のほうから熱くなってくる。
血を吐きそうなその熱の苦しみに耐えながら訊いてみる。
「・・・なんで、こんな・・物を・・・・・くっ!」
骨が軋む。
体が縮むような感覚。
・・・いや、本当に縮んでるかもしれない。
「がんばれ!それひっひっふー、ひっひっふー。」
拙者は妊婦か!?
とつっこみたいがいかんせん体が言うことを利いてくれない。
視界が霞んでいき、最後に死を覚悟した。
そして、そのまま意識は闇に落ちていった・・・。

―二時間後―
「ん~・・・。」
・・・ん?
「あーあー。」
「お、起きたか。・・・で、何やってるんだ?」
自分の声を確かめた後澄夜に声をかけられたが聞こえなかった。
「声高くなってるー!?!?!?」
「当たり前だ女になったんだから。」
さらりと何かほざきやがる相棒。
「おいおいおいおいおいおい!マジデカ!?」
「マジでだ!ちなみに実験の結果が分かったから紅月にはもう飲ましてある。」
「飲み薬もあるのかよ!」
と突っ込んでおく。
とりあえずその紅月さんの姿は何処に?
と思って見回してみるもコノ部屋にはいないようだ。
「ってか、ココ何処?」
フラスコやらなんやらと研究器具が一杯並んでいる。
「俺の部屋だ。」
「・・・こんなんじゃなかっただろ?」
もっと普通の部屋だったと思うが・・・。
よーく見てみる。
吸血鬼の血が流れているから暗いところでも目は利く。
「・・・やっぱりお前の部屋じゃないだろ。」
「いやいや、俺の研究室だって。」
研究室?
そんなものコノ家にあったか?
頭の中の記憶の引き出しをあらいざらい調べてみる。
「そんなもの無かったはずだけど・・・?」
自分の記憶の結果を疑問として口に出すと
「俺が後から増設した。」
と、拙者の相棒はそうのたまった。
「勝手に何作ってんだこら!ドレダケ苦労してたてたか知ってるのか!?」
なにせコノ家は設計は澄夜がやったが実際に建てたのは拙者だ。
といっても近隣の皆様に手伝ってもらってやっと建った家だが。
「ふっふっふ。ま、良いじゃないか。お前だって工場を作ってるんだし。」
「それは最初から計画にあっただろ!」
拙者は自分の刀や色々な物理的な武器を作る工場を持っている。
・・・その工場も最近はあまり使ってない。
「まぁまぁ、店先でやられるよりよっぽどましだろ?」
「当たり前だ!」
と怒鳴ってみる。
「そんな可愛い声ですごまれてもなぁ・・・。」
笑いをこらえているかのような表情でそういう相棒。
く・・・屈辱だ!
「そうそう。もうすぐガキどもが来るそうだ。」
「中学生だっけ?拙者はいないということで話を進めてくれると嬉しいが?」
そう提案するも
「偽名使ってでも出ろ。コノクソヤロウ。」
どっちがクソヤロウだ!
と思うが言うとぼこられるので黙っておく。
「んじゃ、『六星 貴輝』で。」
「下の名前は変えないのか?」
相棒が聞いてくる。
「別に女でききって名前いても問題なかろう?」
そう返す。
「まずはその喋り方を何とかしろ。」
「唐突に話し飛んだな。」
とは言えさすがにコノ喋り方はまずいか?
少し考えて。
「別に大丈夫だろ?」
そう結論に達する。
「一人称だけでも変えろ。」
あぁ、なるほど。
と思って再び思案。
・・・・・。
「どんな一人称が良いと思う?」
「名前で言ってみるとかどうだ?」
想像する。
「絶対に嫌だ!」
「んじゃ、無難に『私』で良いんじゃないか?」
と、まっとうな答えが返ってくる。
「やっぱり?ま、そうするかな・・・。」
そう言うたら
「華月さんお客さん来ましたよ。」
紅月さんが呼びに来た。
「お。本当に足できてる。」
そんなことを口に出すと
「おいおい。誰が犠牲になってあの薬作ったと思ってるんだ?俺だぞ俺。」
「いっぺんといわず何べんでも死んでくれ。」
人の犠牲を自分の物にするな。
心の中でそう呟いて澄夜と紅月の後についていく。


―仕事場(受付)―
正面玄関のあるここは受付である。
ちなみにさっき洗面所で鏡を見てきたら髪の毛は銀色の長髪、肌はすべすべ、鏡を見なくても分かるけど胸も出ていた。
そんでもって今目の前にはガキがうじゃうじゃと・・・。
中一のガキどもが仕事場で騒いでいる。
しかも狭いためかぎゅうぎゅうづめだ。
外でやれば良いのに・・・。
「皆ー。こちらがここで働いている人たちだよー!」
教師らしい一人の女性が子供達相手に声をかけている。
挨拶を済ませると演説をしてくれと頼まれる。
「がんばれ!」
「貴様がやれ!」
殴ろうとするが避けられる。
最近澄夜の俊敏性がとても上がってきているようだ。
一通りお決まりの挨拶をとてもやる気なさそうに澄夜がやり終えたあと自己紹介をすることになった。
自己紹介・・・って偽名の方を名のりゃ良いんだよな?
と考えていると
「ぁー。澄夜華月、年齢は16歳です。」
嘘ばっかし。
と思うが外見上そうなので何も言わない。
次は拙者の番か。
「せ、私は六星貴輝、年は・・・秘密ってことで。」
本当のことを言っても信じてもらえそうになかったのでそういった。
「あれが貴輝!?」
「聞いてたのと全然違うな・・・。」
「男の人じゃなかったの?」
色々と聞こえるが全部正しい。
「はーい静かに。」
教師が言うがあまり静かにならない。
ちなみに次は名美。
「うるさいよ?君たち。」
静かで低く通る声でそういうと全員黙った。
女って怖いなぁ・・・。
と今現在は女の身である自分が考える。
「私は麗空名美、年は・・・忘れた!」
「麗空?そんな苗字になったの?」
素直に訊くと。
「悪い?」
にっこりと微笑みかけられる。
「いえ、全然悪くアリマセン。」
と返答。
で、次は紅月さん。
「私は・・・」
苗字をどうしようか迷っている様子。
別に言わなくっても良いんじゃなかろうか?
と思うが面白そうなので黙っておく。
「私は・・・澄夜紅月です。年は成長が止まってから数えてません。」
成長止まってから数えてないって、あんた一体いくつ?
ってか、結局苗字は澄夜ですか?
いろういろと誤解を生みそうですよ?
と正直なところは色々訊きたいが年齢不詳者や謎が多い人物が多いので訊かないでおく。
最後は風凛さん。
「私は朱猫(しゅねこ)風凛。年は16だよー。」
朱猫・・・。
昨日苗字って何と会議の後聞かれたので教えたらなにやら考え込んでいたのはそれか・・・。
種族の名前をそのまま持ってきたか。
やるな。
とか考えているうちに質問タイムへ。
「貴輝さんって男なんじゃないんですかー?」
率直な質問がきた。
「えーと、あっちの貴輝君はちょっとお仕事で出かけてて今いないんだ。」
と答える。
隣で笑いをこらえてる奴は後で切り殺すと心に誓う。
そのごさまざまな問答を繰り返して実習へ。
「実習って何やるの?」
隣の相棒に訊いてみる。
「俺は魔術指南と薬の調合の仕方。お前は武術指南と鍛冶の仕方だ。」
うげぇー。
と思って嫌だといったら殴られた。
「お前には名美もつくらしい。風凛はどっちにつくかちゃんと訊いてないからいたりいなかったりするかもしれん。」
「へいへいわかりましたよ。」
とりあえず武術指南はなにを教えてやろうと考える。
「そういえば何処で武術指南はやるの?」
「場所は一緒だ。ついて来い。」
ついていく。

―裏庭の川原―
このSITSが建ってる場所はコノ村の中を流れるこの島で一番大きい川のほとりだ。
裏庭は少し場所をとってあるので武術指南や魔術指南には最適かも知れない。
というかココでよく武術訓練や魔術訓練をしているんだからここになったんだろう。
・・・で、武術指南には男16名、女4名と二十名ほど来た。
「・・・驚いた。女が四人も来るとは。」
ってかこのクラスは男女何人ずついるのだろうか?
男16名?で、向こうにいる男は4名。女は・・・15名か。
合計で20名19名の39名のクラスか。
とにもかくにも武術指南で何やるかはさっき考えておいた。
やっぱり刀(剣)術でしょ。
と思ってそこら辺に生えてる木からてきとーに木刀もどきを作らすところからはじめる。
あらかた形は整えてある状態で渡し、各々好きな形に削らせるという物だ。
「先は尖らせないよーにねー。危ないからー。」
と注意してほうっとく。
魔術指南の方では核石を一つずつ渡している。
どこにあんなにあったんだ?
できるまで少なくとも10分くらいかかるだろうと思って魔術指南の方を眺めていると。
「エクスプロージョン!」
どごーん!
!?!?!?
何教えてんだあいつ!?
「「「「「エクスプロージョン!」」」」」
ガキどもも続いて言う。
ポン!ポンポン!
とても小規模な爆発があちらこちらで起きる。
・・・大丈夫そうだ。放っとこう。

―約10分後―
全員できたようだな。
「よし。それじゃぁ、武術指南始めるぞー。まず自分の得物を良く見ろ。ちゃんと刃が付いているな?そちら側でしか攻撃をしても大して手傷を負わせられない。まぁ、常識だな。そんでもって槍状にした奴もいるな?これは突くことに特化した武器だが、結構扱いが難しい。相手を払ってもよし。突いても良し。だがその分端っこのほうを持たないといけないので結構な力が要る。それに刃の部分があまり大きくないので切ることはまず無理だ。だから剣や刀より余計に力が要るんだな。で、三名ほど二つに切って双剣にしたやつがいるが・・・これは攻撃範囲が短い。その分攻撃速度がますといった感じか。突くにも斬るにも良いが攻撃範囲が短いことを肝に銘じておけ!他は・・・あぁ、一人弓刀・・・スワローという名前の武器と同じ形にした奴がいるな。弓刀というのは刀が二本柄の部分で繋がってるような物だ。これは攻撃範囲と耐久度を犠牲にして攻撃速度を極端に上げる物だ。縦に回しているだけでもかなりの速さで攻撃ができる。その代わり槍以上に扱いが難しいから気をつけろ。・・・各々の武器の特性はそんなところか?ではこれから二人一組を作ってちょっとした実践練習をしてみろ。」
一気に喋ったから少し疲れたな。
目の前ではぞろぞろと相手を探すガキども。
「まぁ、中学生程度なら別に大丈夫か。」
そうぼやいていると、
「はい。お茶。」
「ん。すまんな。」
名美がお茶を持ってきてくれた。
「すいません!」
ん?
と振り向くと。
「勝負してください!」
一人の少年が立っていた。
「でもなぁ、偶数人いるし・・・。よし、もう一人連れて来い。そうしたら戦ってやる。」
「はい!」
といってもう一人探しに行く。
あいつは双剣か。
「元気なって言うかきびきびした子だねー。」
名美が感心したように言う。
「うん。ああいう奴ばっかりだと良いんだがなぁ・・・。」
しみじみ思った。
で、少ししたらそいつが一人の少年を連れて帰ってきた。
「勝負です!」
「よし、ちゃんとつれてきたな。なら勝負を受けよう。」
「怪我させないようにね。」
名美がそう忠告して離れる。
「ふむ・・・。ハンデは?」
「大丈夫。要りません。」
そういって少年が構える。
ちなみに双剣の少年が連れてきたのはたった一人の弓刀使いだった。
両方とも逆手に構えてるか。
「ま、ハンデは要らないといわれてもな・・・。怪我はさせれないし。・・・そうだ。少し待ってろ。」
そう言って店の中に一旦戻る。

目当ての物を持ってまた帰ってくる。
「これなら怪我はしないだろう。」
その手に持っている物はスポンジ棒。
これで怪我したらある意味驚く。
「そうだね。攻撃が一回でも当たったらそいつは行動不能ということで。皆ルールは勝手に作ってやってるらしいし。あ、当たったらといってもかすっただけなら無しな。・・・良いか?」
「「はい!」」
二人が声をそろえて言う。
「では、このコインが地面についたら開始だ。」
といってコインを指で弾く。
くるくると回転しながら上昇していき。
空中で一瞬だけ静止。
そして今度は落下し始める。
そして・・・
キン―――。
コインが地面に触れると同時に双剣が走り出す。
――反射神経は中々か・・・。
一瞬遅れて弓刀も走ってくる。
――だが、甘い。
双剣の攻撃を刀で弾こうとして、
後方に飛んだ。
――危なかった・・・。今スポンジ棒じゃん。攻撃は受けられないと。攻撃をかわして斬りかかるか。
二人の攻撃を後ろに飛びのきながら避けつつそう考え
――・・・今!
紙一重で双剣の攻撃をかわし懐に入り胴を打ち込む。
後ろから来ていた弓刀の攻撃は身を回転させて弓刀の背後に回りこみつつ回避。
後ろに回り込んだらその遠心力をそのままスポンジ棒に乗せて叩き切る!
バシッ!バシッ!
とほぼ二連続で両者を斬り伏せる。
「勝ちっ♪」

―二時間後―
あの後も何人か挑んできた。
最後のほうは模擬戦をせずに拙者と誰かという組み合わせの戦闘を全員観戦するものとなっていた。
ちなみに今は昼休憩。
拙者たちもなにやら風凛が作ったらしい昼ごはんをご馳走になっていた。
「何回か危険な場面があったな・・・。やっぱり女の体だからか?」
と考える。
「そうなんじゃないか?狼の獣人の女性は皆非力だって言うし。狩は男の役目で女は普通の人間と大差ないんだろ?」
相棒がそう聞いてくる。
「そうなんだよなぁ。まぁ、私の場合は吸血鬼の血が流れてるからそんな悲観したもんじゃないけどね。」
「ぷっ。」
相棒が笑いがこらえられないといった感じでふきだす。
「何がおかしい?」
「私ってお前。今は別に良いじゃないか。」
笑いながら答える澄夜。
「まぁ、そうだけど・・・。」
考え考え喋る。
ま、良いか。
と開き直って準備をしに行く。
午後は鍛冶の実習らしい。
簡単な鍛冶道具は裏に出してあるらしいからあとは鉄芯を持っていくだけか。
拙者はちゃんとした鍛冶師じゃないから剣や刀の芯をなんていうか知らない。
だから鉄芯と拙者は呼んでいる。
芯が強ければ打った刀も強くなる。
鉄芯をどの程度がんじょうに作れるかが強い武器を作れるかに繋がるのだ。
裏に鉄芯の材料26個を持って出る。
といっても何回か往復したが・・・。
予備を5個だけ持ってきた。
裏庭には21個の簡単な鍛冶道具が置いてある。
いつの間にそんなものを用意したのか?
というか終わったあとずっと一緒にいたのにドウヤッテ出しておいたのか?
後で聞いてみようと思い多分教えてくれないだろうなぁ。と結論を出す。
いつもは重くも何とも無い鉄芯が今日はやけに重く感じたので三つずつ運んでいく。
意外と時間がかかりなおかつ結構汗をかいた。
女って不便だなぁ・・・。などと思いつつ一服していると。
「あの~・・・。」
「ん?」
声をかけられ振り向くと一人の女子がいた。
「何用だ?」
といつもの調子で返してしまいしまった!と思っていると
「どうやったら強くなれますか?」
と質問された。
気にしてないみたいだ。
「強く・・・ねぇ。基本的に女が強くなる必要は無いんだけどなぁ。私の種族もそういう風習が会ったために女性は結構非力だし。」
「・・・種族?」
・・・やらかした!
拙者たちはなるべく『人間として』暮らしている。
種族の事を話してしまったりはしてはならないと今日まで警戒して暮らしていたのに!
どうしようか考えあぐねていると、
「種族っていうのはな、俺達が住んでいたところの民族のことだ。」
向こうからやってきた澄夜がフォローしてくれた。
「(ナイス!)」
少女に気づかれないように口元だけを動かして伝える。
「(バーカ。)」
罵倒された。
拙者たちはこういうときや色々と使えるので読唇術を学んでいる。
といっても今は拙者は澄夜に対して、澄夜は拙者に対してしか読唇はできない。
色んな人に対して読唇を試みるのが一番手っ取り早く読唇術を極めることができるのだが、この島には人が少ないしあまり読唇をする必要が無いためあまり成長はしていない。
「へぇ~・・・。」
と少女が感心(?)している。
「まぁ、そういうことだ。女が強くなろうとするのはあまり賢明とはいえない判断であるんだな。やっぱり男の・・男って言うのは強い女が好みって言うやつあまりいないしね。むしろ精神面を強くしたほうが良いよ。」
一瞬自分を男だと言いそうになり慌てて訂正する。
早く解毒(?)剤作れ!
と心の中で相棒に文句を言っておく。
「精神面を強くって言うのはどうすれば?」
普通に考えれば分からないか・・・。
と思いこちらも考える。
精神的に強くなるのは中々簡単なものではない。
一番手っ取り早く、かつ一番鍛えられるのは一度『堕ちて』みる事だ。
といってもそれは拙者の持論であって他の人に言わせると違うのかも知れない。
それにこの方法はとてもハイリスク・ハイリターンなのだ。
堕ちてしまってからまた同じ場所まで、もしくはさらに上に昇れなければならないのだ。
普通の人間には土台無理な話なのは間違いない。
拙者は精神修行と称して一ヶ月間何も無く暗い部屋に閉じ込められたことがあった。
あの時は本当に気が狂うかと思ったのを良く覚えている。
拙者が考えているのをどうとったのか少女は
「・・・私では無理なんでしょうか?」
と訊いてきた。
別にそういうわけではないのだが、突き詰めて言っていけばそうなのかも知れない。
「ん~・・・。あんたがどういう人間かによるかな?」
とテキトーに言っておく。
「私が、どういう人間か・・・か。」
何か満足したように笑顔を浮かべて
「ありがとうございました。六星さんも頑張ってくださいね。」
といって去っていった。
「・・・本当に女ってのは分からんなぁ・・・。」
とぼやいていると。
「そう?」
といつの間に背後に立っていたのか、名美がそこにいた。
「・・・いつの間に?」
「テレポート使ったの!澄夜君に教えてもらったんだ。」
と笑顔で答える名美。
「拙者には教えてくれなかったくせに・・・。」
少し腹が立つ。
「で、午後は何を作らせるの?」
「ん?やっぱり刀とかかなぁ・・・。でも危険だよなぁ。簡単に作れるような物じゃないし。・・・どうしようか?」
名美に訊いても仕方ないのだが一応訊いて見る。
「ん~・・・。私としては危険じゃなくて面白い物を作ってほしいなぁ。そんな物無い?」
と訊いてくる。
「ん~・・・。危険じゃなくて面白い物ねぇ・・・。・・・・・・・・そんな物心当たり無いがなぁ・・・。」
「やっぱり~?ん~・・・。」
二人で悩み始める。
「何悩んでるだ?」
悪鬼が現れた。
「露骨に嫌そうな顔をするな。」
「無理だな。」
相棒でもあるそいつにそういって無視しようとする。
「で、何考えてたんだ?」
「元に戻る方法とこの後何作らせようかを考えてたんだ。」
それだけ言って考えに戻る。
「元に戻る方法は別にあるが、この後ねぇ・・・。」
「何?元に戻る方法はあるのか!?」
驚きと共に訊く。
「あるぞ。ようは人型の男になれば良いんだからそういう薬を飲ませれば良いだけの話しだし。」
さらりと言う澄夜。
「出せ。」
それに対して急かすように言う。
「一日に二回もあんな苦しみを味わったらいくらお前でも結構体がもたないと思うが?明日にしたらどうだ?」
「む・・・。」
一理ある。
しかし一刻も早く戻りたいこちらとしてはあまり構ってられない・・・。
「まぁ、それは後でも良いとして。とりあえずこの後のことを考えろ。この後作らせる物なぁ・・・。刀は?」
「一応そのつもりで鉄芯持ってきたけどやっぱり危険だしなぁ。刃物作らせるわけにはいかんし、第一誰も完成させられないだろ?」
そういうと無言で考えていた名美が
「じゃぁさ、ナイフみたいなの作らせたら?」
「ナイフか・・・。でもそれも難しいぞ?」
刃物は基本的に作るのが非常に難しい。
「さて、どうするかな・・・。」

―あとがき会話―
貴輝「眠い!」
澄夜「そうか。」
貴輝「今回は返し方が普通だ!?」
名美「別に驚くことではないと思うけど・・・?」
風凛「私もう寝ても良い?」
紅月「私も良いですか?」
貴輝「んじゃぁ女性陣はもうご就寝ですか?」
名美「私は別に大丈夫!」
貴輝「あっそう。じゃ、二人は寝てきても良いよ。もう夜遅いし。(現在午前2:55)」
澄夜「じゃ、俺も。」
貴輝「お前は駄目。」
澄夜「けち。」
貴輝「けちだから駄目。」
名美「うわ。開き直った。」
貴輝「ぇ~。とりあえず。次回予告はしたとしても全く意味を成さないと気づいたので、」
澄夜「遅っ!」
貴輝「次回予告はなしにします!」
名美「じゃぁ、何やるの?」
貴輝「豆知識とか?」
名美「すぐにネタが尽きると思います。」
貴輝「そこはつっこんじゃ駄目だよ嬢ちゃん。」
澄夜「黙れオヤジ。」
貴輝「ま、とりあえずはテキトーに思いついたことをやろうかな?とか思ってます。」
澄夜「何やるか決めてからやれ。」
貴輝「んじゃ、キャラクター達で雑談しよう。」
名美「ようは何もやらないと?」
貴輝「そういうことです。」
澄夜「いよいよこのあとがき会話が意味をなくしてきたぞ!」
貴輝「うるさいよ!まぁ、何はともかく。今回はこの辺で。」
澄夜「さようなら~。歯ぁ磨けよう~。」
名美「ばいば~い。また今度ねぇ~。」
貴輝「何か約一名古臭いこといってるけどさようなら~。次回を楽しみに待っていてください!」

To Be Contenue...

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