2007年7月25日水曜日

―Sky―【SITS.Story.】 第睦話 ~人形~

この物語は全てフィクションです。(念のため)

Skyの世界のパラレルワールドであるもう一つの世界でのお話・・・。

―Sky―【SITS.Story.】 第睦話~人形~

翌日
「・・・ん?」
名美を起こさないように起きてきてふらふらしていると背後に気配を感じ振り返る。
「私の貴輝が帰ってきたー!」
「ただいま、あとおはよう母上。」
唐突に飛びついてきた母親を回避しつつ挨拶を返す。
「何で避けるの!?私の・・・私の貴輝が・・・!!反抗するなんてー!!!」
「はいはい。阿呆なことはいいから。」
昔からこうやって暴走する癖がある母親なのでてきとーにあしらっておくのが良いと学習済み。
「何か冷めてるわね・・・。」
冷ややかな(?)視線を送ってくる母。
「ま、いいわ。それよりこんなところで何やってるの?というか、昨日はよくもやってくれたわね!」
「いや、自業自得だろ。その短気なところ直せよ母上。でないといつか痛い目見るぞ?」
昔から言ってることなのだがちっとも直らない。
「だってだってー。亜魏斗(あぎと)があんまりにもむかっ腹が立つことするからさぁ。」
「昔っからだろ。もう諦めたら?」
昔からあの変態は『あぁ』なので拙者はとっくに諦めているが母上はいまだに諦めていないらしい。
「というか母上も変わらないなぁ・・・。外見も中身も。」
「どういう意味かな?」
とにっこり笑顔で聞いてくる母。
「まぁ、いいけど。さすがに神祖の吸血鬼だね。回復早いなぁ~。」
「そういえば、あなたはまだ『覚醒』してないみたいね。いい加減覚醒してもいいのになぁ・・・。」
吸血鬼も『覚醒』するらしい。
覚醒したらどうなるかは教えてくれないが・・・。
「覚醒の条件って人それぞれなんでしょ?拙者の場合は何なんだろうねぇ・・・。」
と一応興味もあるので聞いてみる。
「知らないわよ。私の場合は運命の人との遭遇だったけど。」
「運命の人って・・・亜魏斗でしょ?やな運命の人だなぁ・・・。」
母上は亜魏斗との出会いが覚醒の条件だったらしい。
出会ってから少しして覚醒したらしい。
「でも、覚醒の条件ってだいたい親と子と大差ないはずなんだけどなぁ・・・。・・・あ!もしかしてまだ運命の人と出会ってないとか!?駄目よ~出会いは積極的に求めていかないと。」
「そんなことやってる暇ないよ。母上が暴走してるって聞いて帰ってきたんだし。ってか、運命の人ってそんなさくっと分かるもんなの?」
「出会った瞬間にこう『どっかーん』って感じになるのよ。私の場合は一回爆発したわね。」
どっかーんって・・・どんな表現だよ。
「ってか、爆発した!?何が起こったのさそれ!?」
とあまりにも普通に言われたせいで一瞬遅れてつっこむ。
「であったのが戦場だし?ちょうど地雷踏んだかミサイル食らったか何かしたみたいなのよ。」
「ぇ・・・。それって運命の出会いとかカンケイナクナイデスカー?」
それでも運命の出会いだと言い張るのがこの親である。
「だってだって、いまは『らぶらぶ』なんだもん!」
「はいはい。」
この親はいつもこういっていちゃつく姿を見せたがるのが厄介だ。
まぁ、仲良きは美しきかなってことで納得しているのはいるんだが・・・。
「むぅ~・・・。反応が冷たいわねぇ・・・。」
「何時間もガテに揺られてた後に昨日のあの戦闘だろ?疲れてるのよ。拙者は。」
と、これは正直なところ。
実はガテで少し酔って(結構揺れる)その直後の戦闘だった。
まぁ、だからとっとと終わらしたかったし、あんな秘奥技術なんかさっさとぶっ放したわけだが・・・。
「もう!もっと体力つけないといけないよ!?私は体力全開だからね!?」
「朝っぱらからうるさいなぁー。低血圧なんで黙っててください。」
「うわーん。息子がいじめるー。」
と、すごい棒読みでどこかへと走り去る母親。
端から見るとすごく変だ。
ぐ~・・・。
「・・・飯にするか。」
と腹の虫も鳴いたので食堂へ向かう。

―銀狼の里 王宮 廊下―
食堂ってどこら辺だったかなぁ・・・とふらふら歩いていると、
「あら?貴輝様ですか?」
と自室の方角から声をかけられる。
「ん?お、コボルさん!久しぶり~。」
「お久しぶりです。いつお帰りに?」
「昨晩ね。そういえばコボルさんは昨晩何処にいたの?」
と、他愛も無い話をしているのは元拙者の養育係のコボル・タミンさん。
一応男性らしいが小柄で目もくりっと大きく・・・ようは女性のような見た目をしている。
そのせいで女性からは絶大な人気。
そして、我が糞親父になぜか女性と同じ扱いを受けていると言う絶妙になんとも哀れなお方。
もう諦観しているらしく今日も『女性者のメイド服』に身を包みいそいそと働いている。
「昨日は血姫様が破壊なされた塀と王宮の修復で北のほうの一角におりました。」
しかも、そんななりしてこの方はものすごい力持ちで、多分この里の中でも片手の指に入るだろう。
一番は一応あれ(親父)で、二番目が拙者か母上。まぁ、三番目もどっちかで、四番目か五番目あたりがこのコボルさんだ。
「はぁ・・・。まぁ、毎度毎度うちの母親がお世話になってるみたいで。」
「いえ、血姫さまはそうないのですが・・・。亜魏斗様には困らされています。」
と、疲れた顔でいう。
「あの馬鹿は何かやったらぶん殴っていいよ。ってか、ぶん殴ってやって。是非、全力で。」
「そんなことはできません。」
と、真面目な彼はこういうが別に本当に良いと心から納得できれば殴り飛ばしているだろう。
「どのみち私がやらなくても血姫様がなさっているので。私がやるまでも無いでしょう。」
とは本人の談。
昔からずっと言ってるが断固としてそういうことはやらない。それが彼という男である。
「そうか・・・。実に残念だ。・・・あ、そういえばさ、食堂って何処だっけ?」
「・・・お忘れになったんですか?もう少しいったところにある両開きの扉が食堂ですが。厨房は食堂の奥に見えます。廊下から入るなら食堂の扉は二つあるのでそのもう一つ奥の扉からお入りください。」
と少し呆れ気味に言ってくる。
彼はとにかく『頼まれたこと以上のことを』が信条らしく、こうして色々と聞いたこと以上のことを教えてくれたりやってくれたりする。
まぁ、それでちょっと問題になったこともあるにはあるが・・・。
「ん。ありがとう。それじゃ、お仕事がんばってね。」
と笑顔で送り出す。
「はい。それでは、失礼します。」
と、向こうは向こうでしっかりと頭をたれてお辞儀する。
なんか昔以上に堅物になってるなぁ・・・。
などと考えつつ食堂・・・もとい、厨房に向かう。

―銀狼の里 王宮 厨房―
厨房に入るとまず来るのが侮蔑の視線。
もう、これには慣れてしまっているので・・・といっても、昔に比べると大分意識してしまうが、まぁ、大丈夫だ。
「何の用でしょう?」
と、声に嫌悪の色が色濃く出ている問いかけを投げかけられる。
「いや、ちょっとのぞいてみたくてね。久しぶりだし。昔以上に油でこぺこぺしてるなぁ・・・。ちゃんと掃除してるの?」
と、普通に明るく返す。
ここにいるものたちは先ほどのコボルさんとは違った意味での堅物が多いので、適当にあしらっておくのが一番なのだ。
「いま、少し大変なので何処かに行っててくれませんかねぇ?私たちが仕事終わった後なら別に使ってくれても構いませんよ?」
と柄悪く言ってくる。
まぁ、これもいつもどおり。
ここは変わらないなぁ・・・。と思いながら
「いや、別にいまのところ使う用事無いからいいよ。ごめんね、邪魔して。」
と返答する。
そのまま一旦廊下に出る。

―銀狼の里 王宮 廊下―
「ふぅ・・・。あの調子じゃ拙者の分は作ってくれそうに無いな。居るの知らなかったとか言いやがるだろう。集落に出て食うかな。」
「あ~!いたー!」
と、最後まで言い切る前にすぐ近くで叫び声が。
「・・・名美か。耳元で叫ぶな、五月蝿い。」
「む!そういうのはどうかな?と思うんだけど!?」
朝っぱらから叫びまくるなと言っているのだが・・・。
言っても始まらないので何も言わない。
「何か用?」
「態度冷たいー。一緒にご飯食べようと思ったのにぃ。もう食べちゃったの?」
「いや、まだだよ。いまから集落に出て食べようかなって思ってる。といっても、拙者が居ると食べれる場所って限られて来るんだが・・・。」
?と首をかしげている。
むしろ逆だろうとでも言いたげだがこればっかりはしょうがない。
何しろ拙者はこの里にとって『汚物』であり『最大の汚点』なのだ。
皆から忌み嫌われるのは詮方ないことなのだ。
それを名美に言ったところで分からないだろうからそこは伏せておく。
「一緒に食べるのならついてきな。昔の友人がやってる店がつぶれてなければあるから、そこで食べる。」
「ご飯用意されるんじゃないの?」
「そんなことしてくれるような人たちじゃないよ。さ、行こう。」
といってさっさと歩いていく。
途中母上に外で食べてくる旨を伝えて王宮らしくない王宮を出た。

―銀狼の里 商店通り―
ここは王宮から銀狼の里の門までまっすぐに伸びた商店通り。
イメージとしては江戸とかの商店とか飲食店とか色々ある通りと似ている。
今で言うところの商店街だ。少し違うが・・・。
「さて、奴の店は・・・っと。確かあれだったよなぁ・・・。」
と、もやがかかった記憶を懸命に使って何とか知人の店へ。
「おじゃましまーす。」
と客なのにわざわざ挨拶をする。
「いらっしゃ・・・ん?貴輝?お前貴輝か?」
とすぐに分かってくれる。
「久しぶりー。元気だった?ってか、ご飯食べさせてもらえる?」
「いやー、久しぶりだなぁ。お前こそ元気だったか?俺はもう、ばりばり元気にやってるぞ!飯食うならテキトーに座って待っててくれ。注文取りに行くから。」
と、笑顔で言ってくれるのは従兄弟でもあり、我が友人でもある『伍火 鉄也(いつび てつや)』である。
奇妙な苗字だがこれは我が六星家(勘当されたからいまは六方と名乗っている)の親類が全て苗字に数字が入っている。というなんとも奇妙なしきたり・・・みたいなものがあるからだ。
事実『伍』火だし。六星家に近い親類ほど数字が大きい。
ちなみに七からさきは無い。
六までの六つの家だけだ。
なので、伍火家はかなり近しい家柄だ。
といっても、六星家もそんなにでかいわけではないので(王宮が言うほど大きくないし)、当然のように伍火家も小さい。
いや、小さいわけではないが、こうして飲食店を経営しているほどである。
むしろ財力だけで言ったら末端の一の家『一之瀬(いちのせ)家』のほうがよっぽどある。
お世辞も冗談も抜きで六星家以上に財力がある。
なのに六星家がこの里を治めているのには理由があるが・・・。
それはまぁ、面倒なのでいまは話さないで置こう。
「どれにするー?ていうか何がお勧め?」
と名美がお品書きを読みながら聞いてくる。
拙者は頼むものは決まっているのでお品書きさえ読んでいない。
「拙者は『いつものやつ』を頼む。お品書き読んでどんなものか分からなければあいつに聞くといい。」
「『いつものやつ』?何頼むのー?」
とお品書きから顔を上げて聞いてくる。
「秘密ー。ってか、多分お前食べれないぞあれ。」
「ぇ。何食べるの?私が食べれないもの?なんだろう・・・。」
と考え始める。
「早くせい。」
「や、お待たせ。注文はあれだろ?」
とお茶を飲んでいると鉄也が注文をとりに来る。
「おう。」
「で、こっちの彼女さんは?」
「ぶっ!?」
と飲んでいたお茶を吹く。
「うわ!汚いなぁ!」
と怒るのは一番被害を受けた名美。
「誰が誰の彼女だと!?」
名美を無視して叫ぶ。
店の中なので当然ボリュームは抑えてある。
「・・・違ったのか?いや、てっきり彼女だと思っててな。随分と仲よさそうだったし。・・・本当に違うのか?」
「ち!が!う!」
全力で否定する。
「彼女と間違えられちゃったー。」
と名美はくねくねしている。
「だまれ!?」
「うふふ。あ、私この『今日の朝ごはん』ってやつでー。」
「はい。かしこまりましたっと。それじゃ、少し待っててくれ。」
と行ってしまう。
「まったく!なんで、そんな風に間違えられるのかねぇ。」
「私に聞かないでよ。」
それもそうか、と呟いて料理が来るまで他愛も無い話に花を咲かしたりした。

―数分後―
「はい、おまたせー。『700gステーキ』でーす。外は少し焼けすぎてるけど別にいいだろ?」
「きたきた。大丈夫だ。その程度なら。」
と、『いつものやつ』がくる。
ここに来るとだいたいいつもこれを食べる。
なので今では『いつものやつ』で通じてしまう。
これも一応お品書きにあるが懸賞金付きの遊び半分のもののようなものだ。
ま、制限時間内に食えてしまうので勝負にならず、いまでは材料費とかだけ払うようにしている。最初は無料+少しの懸賞金だったが。
「いちおう時間計るぞ。お前のことだから大丈夫だと思うが。」
「いや、朝だし、久しぶりだから意外と無理かもよ?」
といいつつもうヤル気満々だったりする。
「はいはい。それじゃ、スタート!」
その合図と同時に肉を消費し始める。

―20分後―
「ふぅ。さすがに苦しかったか・・・。」
「はぁ、やっぱり食いきるか。お前、早すぎ。」
と愚痴を言いつつ鉄板を下げる。
「・・・。」
ぽかんと口を開けて見ているのは名美さん。
「・・・。おーい。帰っておいでー。」
「よく食べるねぇ。」
とさりげなくこちらの言うことを無視して言う。
「さすがにちょっと苦しいけどね。久しぶりだったし。」
「しかしお前も体に悪そうな食い方するよなぁ。」
といつのまにか戻ってきた鉄也が言う。
「胃薬くれ。」
「はいはい。言うと思って持ってきてるよ。」
と胃薬をくれる。
「ありがとー。」
それを五粒、水と一緒に飲み込む。
「早く食べろよー。といってもこの後どうしようか・・・。集落を見てまわるか。」
「久しぶりだからなぁ。本当に。お前居なくなって何年だ?ってか、お前かわらねぇなぁ。」
という鉄也はけっこう老けてきている。
「お前はなんかおじさんって感じになったな。老化始まったか?」
「みたいだわ。もうそろそろ終わりかぁ。」
獣人はたいていどこかで老化が一回止まってしばらくしてからまた始まって老衰死する。
拙者や華月は幻想の化け物の血が流れているから不老の体だが、普通はちゃんと老いて、死ぬ。
一般にはだいたい五千万年で死ぬが、この集落と隣の黒梟の里は少し別で、何か一億年から長い奴だと数億年生きる。
「もう、子供も居るんだぞ?」
「へぇ~。知らなかったな。何歳のガキだ?」
「もうすぐ1058だ。おーい、佐井華(さいか)ー。」
と己の子供の名前を呼ぶ。
「1058・・・数えてるのか。親ばかだなぁ・・・。」
「うるせい。おーい?」
「1058か・・・。まだまだがきだなぁ。」
と、感想言いつつ子供の登場を待つ。
「そんなに叫ばなくても聞こえてるよ!何?何か用?」
といって出てきたのは見た目二十歳前後の女性。
「・・・名前だけで男だと思った。」
「なんでだよ。『佐井華』だぞ。さ・い・か。」
「・・・誰?」
警戒されてる。
と思うがそれはまぁ、若いうちは仕方ないか。とも思う。
でも、もう1058だろ?でも、この集落から出ないとそうなるか。
などといろいろ考えていたら勝手に紹介されていたらしい。
「ふーん。ようは『変人』ってことね。」
「・・・ちょっと待て!どういう説明をした!?」
「いや、たまに話す古い友人だって言っただけだが?」
とにやにや笑いながら言う。
信じられん!
「本当か?」
「いや、嘘だ。実際は局所的にお前のことを説明した。」
「局所的に・・・。」
変なところばかり話したな。と思うが別にどうせ間違ってないので良いかとてきとーに区切る。
「こんにちは、一応こいつの友人の六方貴輝です。以後お見知りおきを。」
とか、少し丁寧に挨拶をする。
「ちなみにコッチは今居候している麗空名美さん。少し変わった女性デス。」
「お?俺はてっきりお前のこれかと・・・。」
といって小指を立てる。
「ぶ!?さっきも違うって言っただろ!?」
「一緒に飯食いに来てるしなぁ。仲もよさそうだし。それに何か雰囲気と言うか・・・なぁ?」
と、己の愛娘に振る伍火鉄也さん。
「知らなーい。そんなことよりもお父さん仕事してよ!あまりお客さん来る時間帯じゃないからってサボらないで!」
「娘に説教されてたら世話無いな。それじゃな。」
と微妙に落ち込み気味で仕事へ戻っていく。
「それにしても、どうしてああも間違えるのやら・・・。そんなにそういう風に見えるのかねぇ?」
と独りでぶつぶつと言って名美が食べ終わるのを待つ。
「あ、そんなことよりさ、この後どうするの?街を回るとかさっきは言ってたけど・・・。」
「んー・・・それなんだよねぇ。」
「何か見てすがすがしい気分になるものってないの?」
すがすがしいって・・・。
と思いつつ思考。
この村にそんな気のきいたものはなかったような・・・。
・・・あ。
「一箇所あるかもしれない。といっても、個人差があるだろうし、あまりお勧めはできない。拙者は好きなんだけどねぇ。」
「え?本当!?そこつれてってよ!」
と妙に嬉しそうな名美を引き連れて店を出る。
何故か鉄也が行ってらっしゃいなどとほざいていたが無視した。

―里はずれ 秘密の訓練所―

あぁ、ここも久しぶりだなぁ。
そんな感慨に耽りつつ到着した場所は森の中にある開けた広場のような場所。
そんなに広くは無い。ほぼ円形で半径は・・・10mってところか。・・・まぁ元々そこまで友人の居る方ではなかったのでこれくらいで事足りていた。
ただ、広くないと感じる原因の一つに色々と物が置いてあるのもあるだろう。
「ぉー。何か綺麗な場所だねぇ。まぁ、すがすがしいってのとはちょっと違うような気もするけどー。」
と微妙に文句を言いつつきょろきょろしている名美。
「何か色々と置いてあるものは何?変な人形みたいなのもあるんだけど・・・。」
「拙者の元・訓練相手だ。気術の練習がてらあいつを動かして訓練相手になってもらってた。今動くかどうかは分からんが・・・。一応あの糞親父に初めて貰ったものだ。一定量気力を注げばあとは勝手に自立行動するっていう代物なんだが・・・たまに暴走するんだよね。」
と昔色々とあったことを思い出しつつ解説する。
「ふーん・・・。面白そうー!動かしてみてー!」
と楽しげに言う名美。
「む・・・あんま安全な奴じゃないぞ?」
といいつつ実は自分自身久しぶりに動かしてみたいと思っている。
その木人形・・・名前は、確かバッサだったな。
製作者であり名付け親である親父曰く
『木を伐採して作ったからバッサだっ!』
などとほざいていた記憶がある。
まぁ、本人(?)が別に気にしていないようなのでいいんだが。
そんなことを考えつつてきとーに気力を注いでみる。
「あんまり注ぎすぎると暴走するんだよねぇ・・・。」
といいつつどの程度でいいのかうろ覚えなので少し危うい。
「こんなもんでどうだ?」
とテキトーなところで止めて様子を見る。
・・・・・・・・。
無反応。
「む、まだ駄目か。んじゃもう少し・・・。」
とその後結構な量を注いでみたが駄目だった。
「ぁー駄目になっちゃたんかなぁー・・・。残念。」
「むぅ。動いてるところ見てみたかったのにー。」
と名美も隣でむくれている。
「まぁ、しゃぁないって。帰ろうか。」
と、立ち去ろうとした時。
ギ・・・ギギギギ・・・・・。
「ん?」
振り返ると立ち上がろうとするバッサの姿が!
「お。動いたぞ。動きがぎこちないけど・・・。」
ギギギギギギギギ・・・。
と微妙に不吉な音を立てて立ち上がるバッサ。
そして嫌な予感。
「ぁー。もしかして、暴走気味?」
「シン、侵入、侵入者。ハハハハ、ハッケ、発見。」
などとほざきだした。
「あれぇ?こいつ喋らなかったはずだぞ?なんで喋ってん?」
とこちらも少し混乱。
そう、自立行動するとは言ったが、喋ることはできなかったのだ。
まず口が無い。声帯も・・・まぁスピーカーなどの物も搭載されていない。何よりも物を考えるためのいわゆる人工知能に会話という行為の情報が入っていない。
つまり戦闘を指導・指南するためだけのものだったのだ。
それが何故かこうして喋っている。
「シシシッシ侵入者は、た、直ちにここここから立ち去りなさ、なさい。」
「・・・どういう状況か説明を求める。」
と説明を求めてみた。
が、
「ふざ、ふざけんな。」
と人形の癖になにやら憎たらしいことをほざきだした。
「お前こそふざけんなぁ。・・・そうだ、お前、名前は?型番みたいなのでも構わん。」
「おま、お前に教えて、えてやる義理は、な、ない。」
聞けば腹立たしい言い方での拒否。
「・・・ぶった斬るぞ。貴様。」
「やれ、やれるものならあああああ」
やってみろ。と言わさないようにとりあえず殴ってみた。
ガスっ!
「痛ぇ!そうだ、あいつ木でできてるんだった・・・。」
バッサらしき奴はというと
「痛ぇ。いて、い、痛ぇ。」
と痛ぇを繰り返しながら地面をのた打ち回っている。
・・・なんというか、妙に動きとかが人間くさい。
「いや、お前人形だから痛いとか感じないだろ。」
「痛みはいつしか快感に。」
とバッサらしきやつは変態発言をし始めた。
しかもなんでそんな台詞だけ流暢なんだ・・・。
「侵入者にもその快感を教えてしんぜよおおおお!!!!」
とかほざき始めたのでそこら辺に落ちていた石ころを全力投球!
ボコっ!
と音を立てて頭がへこんだ・・・いや、割れた。
「うーわー。頭割れちゃったぁ。どーせいっちゅーねん。」
とこちらが困惑してると
「もっと!もっとブッテ!」
と相変わらず変態発言している木人形。
もうあれがバッサだ何て認めない。
「・・・死にさらせ!この変態があぁぁぁぁあ!」
といって落ちていた・・・もとい置いてある木刀を手に殴りかかった。

―10分後―

頭部の原型が留められないほど木刀で滅多打ちにされた人形はいまだにカクカクと動いていた。
「・・・バッサは一本取ると行動停止したのに。何なんだこれは。」
「私に聞かないでよー。」
と途中から参加していた名美が答える。
ばったんばったん!
と暴れまわる、いや、のた打ち回っている変態人形は頭部を完全破壊されたからか喋らなくなっていた。

「ぁああああ!俺のバッサ5号がっ!」

といいつつ、マントを翻しつつ現れたのはザ・変態マント!
ようはうちの親父だったりする。
「また貴様かぁあああああああああ!!!!!!」
とりあえず木刀で殴りかかる。
「貴輝!お前もとうとうそんな破壊衝動に目覚めてしまったのか!?」
と、当然のようにこちらの攻撃をひょいとかわしてそんなことを言ってくる。
「んなもんに目覚めてしまうよう仕向けてきたのはそこの変態人形だ!」
「ん?こいつ動いたの?まじで?」
とまるでコイツウゴキマセンヨーみたいなのりで返答する。
「あぁ、気力注ぎまくってたら動き始めたぞ。ってか、なんなんだこのバッサに似た変態人形!」
避けられたこともさることながら、この人形がバッサに似ていることに憤りを感じる拙者こと六方貴輝。
「さっき『バッサ5号』って言っただろう?ちなみに初代バッサはあっちに。」
といって指差したほうをみると何かコケとかにまみれた上に少し腐敗・・・もとい土に還りつつあるバッサらしき木人形の姿が。
「・・・土に還ってるー。まぁ、そりゃそうか。大分時間たってるもんなぁ。むしろ原型を留めているだけまだましなのか。」
「・・・どれ?あのコケまみれのやつ?」
といって微妙に警戒している。仕方が無いか。
「で、親父殿はなんでまたこんな変態人形を作ったのかじっくりとっくり聞かしてもらおうかな!?」
と問い詰めれば
「えー、だるいしー。」
などとほざきだす始末。もう、本当に回避されないならぼこぼこにしてやりたいね。
「まぁ、息子がそんなに父と語り合いたいというなら、お父さん語っちゃうよー!」
なんのかんのいいつつ話したいようだ。

―20分後―

「で、結局どういうことなんだと先ほどから聞いているのだが?」
この二十分間この糞野郎は延々と関係ない話ばかりし続けていた。
「まぁ、ただ単に興が乗ったから作ってみたんだよね。で、作ったはいいけど動かなかったからとりあえずここに捨てといたの。そんなに怒んないでよ~。」
「ここに物を捨てるなとずっと昔から言ってますよねぇ、父上?」
と、にっこり笑顔で訊ねる。
「うわー、息子が怒ってるー。」
「せめて棒読みじゃなかったら許そうかなとも思ったんだけどねぇ!?一辺死ね、この腐れ外道。」
その後は実の父親が再び再起不能になるまで叩きのめした。
「そういえば、何故この男はここに居るんだ・・・?王宮で寝てるはずなのに・・・。」
気付いたときはすでにぼろぼろになっていた。

―1時間後 王宮―

「で、貴輝。なんでこんなことになったのかな?」
と母上に問い詰められて正直にあったことを話してみた。
「・・・まぁ、それじゃぁしょうがないわねぇ・・・。」
といいつつ寝ている親父の頭を平手打ち。無論軽くではあるが
「で、こちらからも質問なんだが、なんでこの男は王宮を抜け出してんの?」
「あぁ、なんか気付いたら居なくなってたみたいなのよねぇ。別に一言声かけてから外出しても誰も止めないのに。」
と、昔からある脱走癖のことをいうがそういうことではなく、
「いや、あれだけの大怪我でなんで動けるのかというのが一番気になるところなんだが。」
「それは、まぁ、私のだんな様だし。」
きゃっなどと年甲斐も無くほざきながらのろける両親もとい母上。
少し殴ってやろうかと思った。
「・・・まぁ、それで微妙に納得できてしまうのがまたいやだなぁ・・・。」
「ふふふ、私の亜魏斗は最強よ?」
とウィンク付きで言ってくる。
それは確かに間違っていないのだが、
「生物としてもう少しくたばってろよって思うんだが。というか、個人的願望としたらそのまましばらく冬眠でもしててくれればいいのにと思うし・・・。」
「・・・まぁ、それは私も少し思うけどねぇ。」
あら、妻にまでそんな事いわれてますよこのオトコ。
アワレダネー。
「ま、コレのことはいいや。もう、生物以外の何かだと認識しておけば大丈夫さ。きっと。」
必死に自分に言い聞かせる。
「そういえば、よく亜魏斗の事討ち取れたわねー?」
「・・・いや、こいつのことだから絶対手を抜いていた。というか、のりでやられるというのも考えられるからなぁ・・・。」
そう、昔から自分が苦しいことを省みずにウケを狙いに行くことが多かったのだ、このオトコは。
拙者の記憶に残っているだけでも
『俺は鳥になるんじゃぁあああああ!!!!』
とほざきだしそのまま変な(多分鳥のつもりだったであろう)格好で谷から飛び降りてみたり。
その後何故か谷の上にいたみんなの頭上から落下してきてみたりと色々とやってくれた。
まぁ、結局、最終的には血まみれになって阿鼻叫喚・・・そんなことになるのだが、拙者が里を去る直前あたりのときはすでに皆なれた様子で血まみれになって
『と、トマトジュース・・・。』
とかほざいてる阿呆を冷ややかに見ていたりした。
無論、救助はコボルさん率いる一部の人間だけがやって、他の人々は遠くからあぁまたやってるよあの阿呆の族長はみたいな感じで見ていた。
「ま、拙者はまたふらふらしてくるよ。」
言って医務室もとい亜魏斗の自室を出て行く。

―王宮 廊下―

「・・・あ、大丈夫だった?お父さん・・・。」
と微妙に落ち込み気味で聞いてくる名美さん。
「・・・何か暗いな。どうした?」
「だって私も一緒になってやっちゃったし・・・。」
ぁー。そんなまじめなことを・・・。
「気にするな。あの程度で死んでいたらこの里を守っていくことなどできはしない。」
と、微妙に嘘も混ぜつつ言う。
守る義務があるのは本当だが、あの程度のダメージで死んでいたら・・・あたりは嘘っぱちだ。
普通に考えてあそこまで傷を負う事自体がだめなんだから。
あれで死なないのは亜魏斗であるからこそだ。
「・・・昔から母上と一緒にボコってたからなぁ・・・。」
何のことか分からずきょとんとしている名美を置いて拙者は歩いていく。
「さてドコイクカナァー。」
考えつつ王宮を出る。

―銀狼の里 表通り―

わいわいがやがや・・・。
そんな表現がしっくりくるような表通りにやって来た。
と、いっても拙者はある程度以上の年齢の者には警戒されてしまうのであまり目立たないように行動しているわけだが。
「・・・おや?」
そんな雑踏の中で絡まれている娘が一人。
何てお約束なんだ・・・!
心の中ではそんなこと思ってます。
しかもこの里の者じゃないってゆーかあれは風凛さんですね。
なにやってん!
心の中でそうは思っていても一瞬出るのを躊躇してしまう。
「・・・ちっ!」
小さく舌打ちしてから止めに入る。
せめて若い連中であることを願おう。
そして、世の中そんなに甘くないんですねこれが。
「・・・おい。」
こちらが声をかける前に向こうが気付きましたよ。
「あいつ・・・。」
「あぁ。」
「コレで俺らも・・・!」
なんかいみがワカンナイ感じに盛り上がっている彼ら。
「おい、そこのお前ぇ!」
思わず後ろを確認する。
「てめぇだ、てめぇ!」
「名前を言え、ぐずめが。」
ちょっと気取っていってみた。
まぁ、挑発もこめてなんだが、これがまた面白いように食いついてきた。
「てめぇ・・・!」
「ふんっ!俺たちに勝てるとでも思ってんのか!?」
といきがる彼ら。
反応を見る限り若造か?でも拙者の事知っていたみたいだし・・・。
「ま、いいさ。とりあえずその娘を放したりなさいな。」
「はっ!おめぇどっちが立場上だかわかってんの?」
そりゃ、実質的な立場ならこちらのほうが上に決まっているんだが、そんなことを聞いているわけは無いだろう。
「ぁー。まぁ、お前さんたちが上というわけではなかろうな。」
分かってはいてもそう答えてしまう。
「・・・そうかい。ならこの娘がどうなってもいいんだな?」
「むしろお前さんたちももう少し相手を選ぶんだな。」
というが早いか今までぼんやりしていたはずの風凛さんは何処かへといなくなっていた。
「・・・はっ!?」
「どこいきやがった、アノ女!」
まぁ、猫だし。
狼と違ってこっそり忍び寄るのが得意・・・つまり気配を消して行動するのが得意なんだからしゃぁないだろう。
「きぃつけろよ。拙者はあくまでも時間稼ぎ。本人が復習に来るぞー。」
拙者はまぁ、命のやり取りを何度もしているので風凛さんが去っていくところを見ていたがなにやら妙に殺気立っていた。
なにがあったんだろうか?
「・・・フフフ。」
そのとき周囲の空気の温度が、明度が下がったかのような感覚に襲われた。
凄い殺気とは物理現象を捻じ曲げる・・・正確には捻じ曲げられたように向けられたものに錯覚させる。
・・・あれ?もしかしてこの殺気って拙者にむけられてません?
「貴輝・・・ふふふふふふふふふ。」
・・・。
怖っ!
てかなんでですかー!?
「ぇーっと。風凛さん!どうしたなにがあったていうかその物騒なものって拙者のものうわ何で抜刀してん!?」
動揺してます。
これでもかというほどね。
だって風凛さんいつの間に持ち出してきたか拙者の刀もって笑ってんだもん。
「積年の恨み・・・ここで晴らすっ!」
「ぅわああああああああああ!?」
絶叫を上げつつ逃走開始。
目立っちゃ駄目・・・そんな考えは吹き飛んだ。

―銀狼の里 秘密の訓練所―

「はぁーっ、はぁーっ・・・。」
ぁーなんだったんだろうさっきの。
積年の恨みって言われても知り合ったのだって最近だし・・・。
・・・んー?
積年も糞も風凛さんはあの地下の屋敷で生活してたんだよな?
なら、あそこで生まれたわけじゃなくて元々外に居たのをあとから入れられたとか、逃げ込んだとかかな?
なんにしても全く記憶にないなぁ・・・。
そんなことをつらつらと考えているとふと視界が暗くなった。
正確には何かの影のようだ。
「ん?」
言って顔を上げるとそこには
「久しぶりだなっ!」
・・・・・・・・・・。
「・・・どなた?」
「・・・。」
今度は相手が黙る番だった。
目の前に居たのは少年だった。
年のころ・・・10才前後、いってても13か14くらいだろう。
・・・といっても見た目だけの問題なんだが。
「お前・・・こないだあったばかりなのにすでに覚えていないというのか!?」
こないだ?
こんな失礼なガキと知り合った覚え・・・あったなぁ。
「ぁー。あの『自称・魔王』か。」
「自称じゃない!名実ともに魔王よ!」
というかさっきから後ろで腕を組んでいるなにやら土人形・・・いわゆるゴーレムっぽいのが地味に気になっているんだが。
「今日はお前を狩に来た!不安因子は今のうちに摘んでおくに限る!」
「その後ろの土人形でか?」
後ろで腕を組んでいるモノを指差し聞く。
・・・あ、頭の辺りが崩れた。モロっ!
「ふっ・・・聞いて驚け!コレがかの有名な」
「ゴーレムだって言うんだろ?ソレぐらい知ってるぞ。」
先に言われたのがショックだったのか少年はその場で泣きそうになった。
・・・精神弱いなぁー、この魔王。
「くそぅ!やってやれゴーレム15号!」
・・・何故に15?
突っ込むと予期に厄介なことになりそうだったので放置した。
そして、
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・。
ならまだよかった。
実際には、
ずず・・・ずず・・・ずず・・・。
と何かを引きずるような音を立てながらゆっくりと肉薄してくるゴーレム15号。
・・・。
ずず・・・ずず・・・ずず・・・。
・・・・・・。
ずず・・・ずず・・・ずず・・・。
・・・・・・・・・。
「どうした?恐怖で悲鳴も出ないか?くっくっく。」
いや、遅いッスよこれ。
「くぁ~っ!」
「欠伸すんな!」
怒られた。
そうこうしているうちにも土くれは近づいてくる。
ちなみに、もうすでに人型を失っている。
歩くたびに崩れているからだ。
迫力ないなぁー。
そんなことを考えつつこぶしを握る。
何故ここにこいつらが居るかとか考える前にコレをつぶしてしまおうと思ったからだ。
「・・・!?」
その瞬間待っていましたといわんばかりに土くれが『溶解』。
そう、『溶けた』のだ。
「・・・ぇ?液体になりましたよ?」
「こいつはただのゴーレムじゃない。本体を隠せるのさ!」
つまりこの液体はさっきまでのゴーレム本体じゃなく、その隠れ蓑ということか。
なんともめんどくさいなぁ。
「・・・いや、隠れてどうすんねん。」
考えても仕方ないのでとりあえず本体を叩くにはどうするかを考えてみる。
「・・・突っ込むか。」
そう呟いてゴーレム液(仮称)に飛び込んだ。
ずにゅぉん
と変な音がしてたどり着いたのは変な場所だった。

―???? ?? ??―

「・・・うわ!気持ち悪!」
そこは何かの動物の体内であるかのようにうごめいていた。
「それになんか獣くさいし・・・。」
存外本当に何かの体内かもしれない。
そうだとしたらここはどこら辺に当たるのだろうか・・・?
「胃だと消化されかねん。ま、いざとなったら斬り捨て・・・れないじゃん!?」
刀は風凛さんに持っていかれてしまっている。
どうしよう?
「とにかく歩いて情報収集だ。」
そう結論付けて出発した。

―???? ?? ?―

どうにかこうにか迷路のように曲がりくねった道を脱出した。
随分と長かったなぁ・・・。
そしたら広々とした場所に出た。
「ありえんくらい広く感じるな。」
なにせいくら暗いといえどこちらとて吸血鬼の知を受け継ぐもの。
その拙者でも向こう端が見えない。
「つまりこれは生物の体内ではない・・・っと。」
歩を進めていくと天井(?)の方から声が聞こえてくる。
「貴輝!」
名美の声だろうか?くぐもっていてイマイチ聞こえない。
「はっはっは!あいつは俺が食ってやったよ!!!!」
これは・・・さっきの少年か?
なぜかすぐ近くから声が聞こえる。
・・・もしや少年の胎内にでも居るのだろうか・・・?
「はぁ、今日は人形関係に苦しめられて、あげくこの状況か。」
さてどうしたものかと思考を巡らせ始めた・・・。



~後書き会話~
貴輝「いぇい!仕事が辛い!」
華月「知ったことか。」
貴輝「つれないなぁお兄さん。」
紅月「くぅ・・・くぅ・・・。」
貴輝「寝てルー!?」
風凛「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス・・・。」
名美「ねぇ、風凛ちゃんが凄い怖いんだけど・・・?」
貴輝「あ、拙者のかたうわああああああああああああ!」
風凛「貴輝・・・コロス。」
貴輝「・・・。」
名美「・・・。」
華月「・・・ひっくし!なぁ、なんか寒くね?」
貴輝「黙ってろ!何でこの緊迫した空気が伝わらないんだ貴様わ!」
華月「まぁ、俺だしな!」
貴輝「うっせぇ!もうちっと考えろ!」
名美「私身の危険を感じるから寝るね!グッバイ!」
貴輝「あっ逃げんなってうわあああああぁぁぁぁぁぁ・・・・。」
――きき は とうそう した!
風凛「・・・逃がさない。」
――ふうりん は おいかけて いった!
華月「・・・おいおい、司会進行が居なくなってしまってはどうしようもないではないか。むしろ私一人にしていいのか?私は今何やっても許されるということだな!?ふははははははははははは!!!!!」
貴輝「あほかー!?」
――きき が あらわれた!
華月「・・・ちっ!帰ってきやがったか!」
貴輝「もう少し進行しようって気はな」
華月「無い!」
貴輝「・・・。」
華月「断じて!無い!!!」
貴輝「そんな力入れて断言スンナ阿呆!」
華月「阿呆というな阿呆と。」
貴輝「まぁ、いい。それでは皆さん!この後書き会話の意味がイマイチ分からん!ッて人だらけでしょうが気にするな!作者もイマイチ分かっていない!」
華月「爆弾発言だな。」
貴輝「ってことで次回もまた楽しみにしている人は楽しみにしていてくれ!あと、更新遅くて、まじすんませんでしたああああああああああああ!ってまたきたあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
――ふうりん が あらわれた!
――きき は とうそう した!
華月「さっきから気になってんだがなんだこのしけたRPGみたいなト書きは。焼くぞこら。」
風凛「捕まえた。」
――きき は とうそう しっぱい した!
貴輝「あああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ・・・・。」
華月「いや、焼くまでもないか。ご愁傷サマー。」

To be continue...

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